Posted 10月 28, 2019
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「自然状態が何らかの『純粋なエネルギー』である双子のエイリアンが撃たれ、エネルギーが流れ出し、最終的に融合して人間の形に戻る」という台本要約を与えられたと想像してみてください。

これは、F.ゲイリー・グレイ監督が『メン・イン・ブラック:インターナショナル』のあるシークエンスのために DNEG に依頼したものです。映画では、この双子がエージェントH (クリスヘムズワース) とエージェントM (テッサトンプソン) の2人のヒーローと対決します。DNEG は、Houdini を使用してパーティクルと流体シミュレーションを組み合わせ、双子のエネルギー効果を解決しました。

MIB International VFX breakdown - 双子の宇宙人のシーケンスは1:58頃より

エネルギー作成の開始

DNEGは、最終的なエネルギーショットに着手する前に、まずコンセプトの段階に入りました。「このエネルギーは『宇宙物質』と表現されていたので、銀河や星雲などの天体写真の研究から始めました」と、DNEG の FX アーティストである Chris Mangnall 氏は説明します。「宇宙の塵と退屈な地上の塵との最も重要な視覚的な違いは、何百万もの星の存在であると思われました。パーティクルシミュレーションとスモークシミュレーションの両方をテストした結果、パーティクルレンダリングでは必要なディテールが得られ、流体シミュレーションでは必要な動きが得られることがわかりました。最終的には、小さな星が全体に散らばっているような、漠然としたボリュームのようなものになりました。」

このエネルギーは『宇宙物質』と表現されていたので、銀河や星雲などの天体写真の研究から始めました。宇宙の塵と退屈な地上の塵との最も重要な視覚的な違いは、何百万もの星の存在であると思われました。パーティクルシミュレーションとスモークシミュレーションの両方をテストした結果、パーティクルレンダリングでは必要なディテールが得られ、流体シミュレーションでは必要な動きが得られることがわかりました。最終的には、小さな星が全体に散らばっているような、漠然としたボリュームのようなものになりました。

Chris Mangnall | FXアーティスト| DNEG

シミュレーションの作成には,パーティクルシミュレーションと流体シミュレーションの両方が使用されました。Mangnall 氏によると、これは両方の技術の利点を利用するために行われたとのことです。「例えば、オイラー流体シミュレーションは、ボリュームの保存、衝突の処理、物理的に現実的な外観のフローを比較的少ない労力で生成するのに優れています。 しかし、密度グリッド内に存在しうる最小のディテールは、ボクセルサイズによって制限され (ディテールを追加するために移流レスト位置フィールドでノイズを使用するなど、役立つシェーディングテクニックがありますが、これらにも独自の欠点があります) 、密度グリッドは数値拡散の影響を受け、シミュレーションが先に進めば、ディテールが失われます。」

「パーティクルは、時間の経過とともに拡散することのないサブボクセルのディテールを提供することができ、ユーザが決めた形状に簡単に形成することができます。パーティクルの欠点は、多数のばらばらな点のように見えないスムーズなレンダリングを得るためには、大量のパーティクルが必要になることです。」

そのため、パーティクル総数を管理可能な数に抑えるために、DNEG は配置に注意を払わなければなりませんでした。「各パーティクルの直径を約1ピクセルにすることを目指しました。つまり、ワールド空間では大きく、それに応じて背景ではよりまばらになり、ディテールが必要な前景ではより小さく、より多く、より透明になります。これは、パーティクル数が1億を超えるフルスクリーンショットで特に重要でした。」

キャラクタと大気の動きとの相互作用を得るため、流体シミュレーションを実行しました。ショット中に、星雲を双子の体に吸い戻す必要がある場合は、2回目の流体シミュレーションを実行して、弾丸の穴の内側に負の発散がある領域を作り、穴が真空のように作用するようにしました。

ショットメイキング

典型的なショットの場合、DNEGのアーティストは、星雲を配置する場所にあらかじめ作られたボリュームを配置しました。ボリュームの密度は、カメラからのZ深度に基づいて調整され、パーティクルがボリュームに散らばっています。パーティクルは、ノイズ関数によってわずかにずらされ、視覚的に興味深い形状に押し上げられました。 そして、色と pscale が割り当てられました。

「その後、キャラクタと大気の動きとの相互作用を得るため、流体シミュレーションを実行しました」と Mangnall 氏は説明します。「ショット中に、星雲を双子の体に吸い戻す必要がある場合は、2回目の流体シミュレーションを実行して、弾丸の穴の内側に負の発散がある領域を作り、穴が真空のように作用するようにしました。」



「パーティクルはシミュレーション最終ステップで、速度グリッドによって移流されました」と Mangnall 氏は追加します。「弾丸のヒットに対しては、排出された星雲が終わるべき場所に定義形状のパーティクルキャッシュを配置し、流体シミュレーションがモーションを引き継ぐ前に、パーティクルを傷口からターゲット位置に飛び出させました。」

これらの作業はすべてHoudiniで行いましたが、殆どが内蔵ノードを使用しています。作業の多くは、Wrangle ノードと VEX を使って行われました。Mangnall氏は、ほぼすべての初期パーティクルのアトリビュートと位置をVEXで設定し、モーションとライティングの多くもVEXで設定したと述べています。「また、ディスクスペースを節約するために、VDBポイントのSOPSをうまく利用しました」とMangnall氏は証言しています。

The particles were advected by the velocity grids as a final simulation step. For bullet hits, we placed shaped particle caches where we wanted the expelled nebula to end up, and had the particles fly out from the wounds to their target positions before the fluid sim took over the motion.

一方、流体ソルバとコリジョンは、 Houdini ノード殆どそのままでした。DNEGは、特定の領域の動きを減衰させるために、カスタムのドラッグノードを使用しました。「双子は、星雲を簡単に押し通せる必要がありましたが、それによる乱気流が外観を破壊しがちでした。 幸いなことに Houdini では、Gas Field Wrangle DOPS を使用して、シミュレーション中のデータすべてを自分の求めるように変更可能です。正確な衝突を得るため、特に発散シミュレーションにおいて、マルチグリッドの反復回数を上げなければなりませんでしたが、比較的低解像度のシミュレーションを使用することができたので、すべてのディテールはパーティクルにあります! - これはコストのかかる問題ではありませんでした。

問題の一つが、星雲内の星に見られる微妙なライティングの加減でした。 ョットの殆どにおいて何千もの星があったので、それぞれにポイントライトを使用するのは現実的ではありませんでした。アーティストは、星からのライティング情報を SOPのパーティクルにベイクしました。ここで、星雲のパーティクルと双子のジオメトリは、シャドウ用のボリュームにラスタライズされました。それから、星雲内の各パーティクルに対し、DNEGは点群ルックアップを使用して近くの星を識別し、近くの星それぞれに向かって影のボリュームを介してレイマーチを行い、ライティングの寄与を得ました。

「殆どの星は小さくて薄暗く、大きくて明るい星は数百個だけでした」と Mangnall 氏は詳しく説明します。「これは、各パーティクルに対し「近くにある」星の数がかなり少なく抑えられていることを意味し、ライティング計算に時間がかからないことを意味します。 弾痕の中心からのグローも同じように計算されました。OpenCL SOP を使用してグラフィックカード上でライティング計算を実行することで、ルック開発のかなりのスピードアップを実現しました。」

星雲は、Mantraを使ってレンダリングされました。ライティングの殆どがプリベイクされていたので、ショットは比較的簡単にレンダリングできるようになりました、と Mangnall 氏は言います。「星、ダスト、様々なライティングパスは、すべて別のAOVに収められ、すべてディープカメラマップを使ってレンダリングすることで、コンポジタがライティングからの他のパスと組み立てるのを助け、DNEGアーティストの Ivan Larinin 氏によるの双子の崩壊に関する優れたFX作業で組み立てられるようにしました。Mantraは、我々が投入した大量のパーティクルの対処に苦労していませんでした。


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