Houdini 18.0では、FEMの新しい改良された解法であるグローバル非線形法(GNL:Global Non-Linear)が導入されました。 この解法は、Houdini18.0以前のFEMで利用されていたグローバル単一線形法(GSL:Global Single Linearization)を置き換えることを目的に導入されました。 このGNLの解法をすべての新しいプロジェクトで使用するようにしてください。 GSLの解法は古いシーンファイルとの下位互換を維持するだけのために残されています。 FEM Solverの Solve Method パラメータから、この2つの解法を切り替えることができます。
FEM Solver の Solve Method パラメータだけでなく、FEM Solid ObjectとFEM Hybrid Objectのどちらにも新しく Material Model パラメータが追加されました。 Houdini 17.5またはそれ以前のバージョンを使って作成されたファイルに対して、できるだけ古い挙動をさせたいのであれば、 FEM Solverの Solve Method を GSL に設定し、 Material Model を Corotated Linear に設定すると良いです。
GSLと比較したGNLのメリット:
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サブステップ数を上げるほど、より安定し、高品質な結果が得られます。たいていの場合では、FEM Solverの Substeps を1または2にするだけでも、適切な結果を得ることができます。
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非線形材料モデルを高度にシミュレーションすることができます。どのFEM Objectも Material Model パラメータが Stable Neo-Hookean Variant に設定されています。
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FEM Hybrid Objectの Shell 設定を使用することで、改良されたスキンをシミュレーションすることができます。
GNLメソッドには、さほど新しいパラメータはありません。 このメソッドは、既存のFEMオブジェクトとパラメータと可能な限り互換性があるように設計されました。 GNLメソッドを使用すれば、パラメータ設定に応じた理想の結果により近くなるという考え方で設計されています。 GSLでは認識されずGNLにしか認識されない唯一の新しいパラメータは、 Repulsion パラメータです。 このパラメータは、GNLメソッドの柔らかい衝突反応の手法の強度を制御して制限することができます。
GSLメソッドで動作していた大部分のFEM機能は、GNLメソッドでも動作し、同様に機能します。 ただし、古いGSLメソッドで対応していた一部の機能は、(まだ)GNLメソッドでは利用できません。 これらの機能のどれかを利用したい場合は、GSLメソッドに切り替えることができます。 GNLメソッドの現在の制限事項のリストは以下に載せます:
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Stress(応力)ベースの粉砕は対応していません: FEM Solverの Solve Method パラメータで GNL を選択すると、 Enable Fracturing オプションが無効になります。
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コリジョンは、四面体対四面体、四面体対ボリュームにのみ対応しています(四面体対ポリゴンのコリジョンには対応していません)。
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FEMオブジェクトの Create Energy Attribute と Create Force Attribute のオプションは対応していません。
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FEM Hybrid Objectの Bend Stiffness パラメータはGNLメソッドでは動作しません。代わりに、スキンポリゴン下の四面体のレイヤーを使って曲げ抵抗を作成することを推奨します。
いくつかの新しいFEM機能はGNLモードでのみ利用可能です。 それらの機能にはFEM Slide Constraintが含まれています。