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概要 ¶
HoudiniのOcean Spectrumを使用すると、非常にリアルで高度にカスタマイズ可能な海の波を素早く作成することができます。 Houdini 19.5では、新しいスペクトルタイプが導入され、柔軟性が向上し、可能性が広がっています。
以下の章では、最も重要なスペクトルパラメータの扱い方とそれらが波のパターンにどのように影響するかを簡単に説明します。
基本セットアップ ¶
基本的なオーシャンサーフェス(海面)の作成には、3個のノードが必要です。 この基本セットアップは、ガイドSOP FLIP流体オーシャンなどの他のシミュレーションにも見受けられます。 白波の立つ海洋の作成など、より高度なセットアップは、HoudiniのOceanシェルフツールから利用可能です。
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obj レベルで、Geometryノードを作成し、その中に入ります。
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そこで、Gridノードを作成します。このグリッドはオーシャンサーフェスとして機能します。
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Size パラメータを例えば
10,10
に調整します。 -
Rows と Columns パラメータは、海の解像度を定義します。値を高くするほど、ディテールが多く表示されます。どちらの値も
300
くらいから始めます。 -
Ocean Spectrumノードを追加します。
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Resolution Exponent を
10
に設定してスペクトルの品質を上げ、小さめの波も作成します。Gridの Rows と Columns とともに、海の最終的なルックを制御することができます。 -
Ocean Evaluateノードを追加します。
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Gridを1番目の入力に接続して、Ocean Spectrumを2番目の入力に接続します。
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波が高すぎる場合は、Ocean Spectrumの Amplitude タブを開いて、 Scale パラメータを下げます。
スペクトルタイプ ¶
Ocean Spectrumノードには、 TMA と Phillips の2つの Spectrum Type オプションが用意されています。 Houdini 19.5で追加された新しい TMA スペクトルは、リアルで説得力のある結果を作成することができ、広範な風の速度と海の深さを表現することができます。 Swell と Fetch (km) の2つの新しいパラメータでは、海岸近くの波立った海と典型的な外洋の波をブレンドすることができます。 2つ目のオプションは、Houdini 12.5で導入されたもので、従来のスペクトル波を表現することができます。
Note
TMA (Texel-Marsen-Arlose)スペクトルタイプは、 Encino 波とも呼ばれています。(Black)Encinoとは、このスペクトルタイプをコンピュータグラフィックスに最初に実装したChristopher Horvath氏のニックネームです。Philippsスペクトルの実装は、 Tessendorf 波として広く知られています。
Note
TMA と Philipps で別々に2つのOcean Spectrumノードをセットアップし、Mergeノードで組み合わせることもできます。
TMA: Fetch (km) ¶
Fetch (km) パラメータは、風が大きな方向転換をすることなく、オープンウォーター上を移動する距離を定義します。
このパラメータは、波の高さと荒さにも影響します。 値を下げるほど、波が小さく、荒くなります。 海岸の近くでは、波は典型的な浅瀬の見た目になります。海岸から遠く離れると、波には一定の方向性が現れますが、小さい波は量も頻度も減少します。 波の高さは、主に Speed パラメータによって決まります。 Speed を維持しながら、より平坦な波にしたい場合は、 Amplitude ▸ Scale を小さくします。
Speed を適度に緩め、 Fetch (km) 値を大きくすると、ほどほどの風速における外洋の波を表現することができます。
以下のビデオは、デフォルトの Wind 設定で、 Fetch (km) パラメータを300
から1
に減少した場合のオーシャンサーフェスを示しています。
時間の経過とともに波の周波数と荒さは増し、波の高さは減少しています。
TMA: Swell ¶
Swell は、波の方向を-1
から1
までの範囲で制御します。
このパラメータを使用すると、海岸近くの波立った海や、遠くの嵐による波のうねりといった気象現象をシミュレーションすることができます。
負の値では風とは反対方向に、波が多く立ちます。
正の値では方向性が強まり、進行方向に長く進みます。
1
の値で、ほとんどの波が揃います。
Swell 値を高くするほど、 Direction パラメータの影響が強くなります。
以下のビデオは、デフォルトの Wind 設定で、 Swell パラメータを-1から1に増やした場合のオーシャンサーフェスを示しています。 時間が経過すると共に、移動する波の数が増加し、調整された Direction で移動し始めます。
Philipps: Directional Bias ¶
Tessendorf波を使用すると、海のルックは Directional Bias パラメータの影響を強く受けます。
小さい値または0
では、波が風と揃う度合いが低くなります。
波は様々な方向から発生して、小さい波と鋭い頂点のある典型的なパターンを作成します。
Speed パラメータも最終的なルックに影響します。
例えば、これを2
、 Directional Bias も0.5
などの低い設定にすると、晴れて風が静かな日によく見られる海の波のパターンになります。
このビデオは、 Directional Bias を0
から3
、 Direction を90
に設定した場合のTessendorf波を示しています。その他のパラメータの値はデフォルトです。
Philipps: Directional Movement ¶
一見すると、 Directional Bias と Directional Movement の違いはすぐには分かりません。
Directional Movement は、風と同じ方向に移動する波の量を制御します。
値が小さいほど、風に逆らって移動する波が増えます。
3
などの高い値の効果は、 Directional Bias が0
よりも大きい場合にのみ確認することができます。
以下のビデオでは、 Directional Bias が1
、 Directional Movement が0
から3
の範囲、 Direction が90
に設定されています。