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概要 ¶
プロセッサは、PDGグラフで主なタイプのノードの1つです。 各プロセッサ系ノードは、上流の入力ワークアイテム、そのノード自体のパラメータ、外部リソースを使って新しいワークアイテムを生成することができます。 このノードは、ワークアイテムにアトリビュート値を設定し、そのワークアイテム用のコマンドラインを設定し、そのワークアイテムを子プロセスで評価するのか現行Houdiniセッションで評価するのか定義することができます。 MergeTOPとAttribute CreateTOPは、アトリビュート値を持ったワークアイテムを作成する単純なプロセッサであるのに対して、 ROP Fetchは実行するのにスケジュールを組む必要があるワークアイテムを作成するもっと複雑なプロセッサです。
どのプロセッサ系ノードも静的または動的のどちらにも対応しており、これによってプロセッサがワークアイテムを生成するタイミングが決まります。 静的プロセッサは、PDGグラフクックの前に実行される静的プリパス中にワークアイテムを生成します。 動的プロセッサは、入力ノード内のワークアイテムがクックする度に1つ以上のワークアイテムを生成します。 この挙動は、どのプロセッサ系ノードにもある Generate When パラメータを使って設定することができます。 プロセッサ系ノードのインスタンスは、そのパラメータに基づいて、どちらかのタイプのワークアイテムのみを生成します。 プロセッサは、同時に静的ワークアイテムと動的ワークアイテムを混在させることができません。
カスタムノードの登録 ¶
カスタムプロセッサノードは、PDG Type Registryを介して登録することができます。
これは、必要に応じてPython Shellから行なうことができたり、または、登録スクリプトを$HOUDINI_PATH/pdg/types
ディレクトリ下に追加することで行なうことができます。
Houdiniを起動すると、PDGは、Houdini検索パス上で見つかったpdg/types
ディレクトリからすべてのスクリプトとモジュールを自動的に読み込みます。
例えば、カスタムノードクラスを定義するスクリプトを作成し、それを$HOME/houdiniX.Y/pdg/types/mynode.py
として保存することができます。
ノード定義だけでなく、さらにそのスクリプトファイル内にregisterTypes
関数を定義する必要があります。
この関数は、PDGがそのスクリプトを読み込んだ時に自動的にコールされ、その.py
ファイルで定義されているノード(s)を登録する役割を担っています。例:
import pdg from pdg.processor import PyProcessor # カスタムノード定義 class CustomProcessor(PyProcessor): def __init__(self, node): PyProcessor.__init__(self, node) # パラメータテンプレート名 @classmethod def templateName(cls): return "customprocessor" # パラメータテンプレート定義 @classmethod def templateBody(cls): return json.dumps({ "name": "customprocessor", "outputPorts" : [ { "name" : "output" } ], "parameters" : [ { "name" : "customparm", "type" : "Integer", "value" : 1, "label" : "Custom Parameter" } ]}) # ノードコールバック実装は、このクラスのメンバー関数として定義してください。 # スタンドアローンのregisterTypes関数を使用して、カスタムノードをPDGに登録します。 def registerTypes(type_registry): type_registry.registerNode(CustomProcessor, pdg.nodeType.Processor, name="customprocessor", label="Custom Processor", category="Custom")
登録系メソッド、ノード定義の照会やアクセスするための他のメソッドのさらなる詳細は、pdg.TypeRegistryクラスを参照してください。
ノードコールバック ¶
各プロセッサ系ノードには、その挙動を制御するために実装可能なコールバックがいくつか備わっています。
プロセッサ系ノードでコールバックを記述する時に実装で必須となる唯一のコールバックがonGenerate
です。このフックが実際にワークアイテムを生成する役割を担っています。
ワークアイテムが In Process としてマークされた際にそのワークアイテムをクックするのに使用されるロジックを用意したいのであれば、onCookTask
コールバックを実装する必要があります。
ワークアイテムを構築する時にinProcess
キーワード引数をTrue
に設定すると、そのワークアイテムがIn Processとしてマークされます。
他のすべてのノードコールバックは任意であり、そのノードの挙動をさらにカスタマイズしたい場合にのみ使用します。
コールバックは、それが成功したのか失敗したのかを示したpdg.resultを返すことができます。 例えば、コールバックが成功するとpdg.result.Successが返されます。 コールバックが完全に実装されていなくて、代わりにPDGで用意されている基底クラスバージョンが実行された場合、コールバックはpdg.result.Missingを返すことができます。 pdg.result.Allなどの他の特別な結果タイプは、プロセッサ系ノードでは使用しません。 コールバック中に投げられてキャッチされなかったPython例外は、PDGによって制御され、そのコールバックは自動的に失敗としてマークされます。
1つ以上のプロセッサ系ノードが静的ワークアイテム生成パス中に失敗を返したら、そのクックはそのノードブランチ内で停止されます。
動的プロセッサの場合、失敗してもクックは停止されず、別の上流ワークアイテムの他のonGenerate
コールによって生成されたワークアイテムが実行を継続します。
Warning
PDGは、コールバックの入力として渡されたワークアイテムのアトリビュートが、そのコールバック中に安全に読み込めるようにします。 また、コールバック中に生成されたすべてのワークアイテムを安全に読み書きします。 ただし、ノード上のメンバー変数にワークアイテムを格納することも、上流のワークアイテムにアトリビュートを書き出すこともできません。
どれかのTaskコールバックが実行されている間、Pythonコードは、その関数に直接渡されたワークアイテムのアトリビュートにのみアクセスすることができます。 このコールバックコードは、そのワークアイテムのアトリビュートを読み書きしたり、出力ファイルを追加することができます。 このコールバックコードは、そのワークアイテムの親または依存関係から自由にアトリビュートを読み込むこともできますが、そのノード内の他のワークアイテムにはアクセスしないでください。
onGenerate(item_holder, upstream_items, generation_type)
→ pdg.result
このコールバックは、プロセッサ系ノードが新しいワークアイテムを生成する度に評価されます。 pdg.WorkItemHolder引数は、そのノード内で新しいワークアイテムを生成する際に使用されるファクトリーオブジェクトです。 コールバックが成功を返さない限り、そのワークアイテムはそのプロセッサ系ノードまたはPDGグラフに追加されません。 このコールバックが失敗すると、コールバックの途中まで評価されて生成されたすべてのものが削除されます。
addWorkItem
メソッドを使用すると、ワークアイテムをホルダーに追加することができます。このメソッドには、キーワード引数のリストまたはpdg.WorkItemOptionsヘルパーオブジェクトを渡すことができます。
これらの引数は、ネットワークアイテムの名前、インデックス、タイプを設定する際に使用されます。
pdg.WorkItemOptions APIドキュメントに載っている各エントリーも同じ名前を使ってキーワード引数として渡すことができます:
# オプションの使い方: options = pdg.WorkItemOptions() options.name = "example" options.inProcess = True item_holder.addWorkItem(options) # kwargsの使い方: item_holder.addWorkItem(name="example", inProcess=True)
addWorkItem
メソッドは、新しいワークアイテムを返すので、コールバックコードでアトリビュート値またはワークアイテムのコマンドラインを設定することができます:
new_item = item_holder.addWorkItem() new_item.setStringAttrib('example_attrib', 'example value') new_item.setCommand('echo "hello"')
ノードに何も入力がなかった場合、コールバックに渡される上流ワークアイテムのリストには、何のワークアイテムも入りません。
ノードに入力ノードがあった場合、そのノードが動的であればそのリストには1個のワークアイテムが、静的であればそのリストには上流ワークアイテムの全リストが入ります。
最後に、generation_type
引数は、ワークアイテムを生成する際に、そのコールバックを静的ノードまたは動的ノードのどちらに対してコールするのかを決めます。
pdg.generationTypeは、そのコールバック関数に渡された列挙の詳細をリストします。
onRegenerate(item_holder, existing_items, upstream_items)
→ pdg.result
このコールバックは、ノードが既存のワークアイテムを持っていて、且つ、最後のクックからパラメータに変更があった時にクックプロセス中にコールされます。
このコールバックによって、ノードがワークアイテムをDirty(変更あり)、削除、修正したり、新しいワークアイテムを追加する機会が得られます。
デフォルトでは、どのノードもonGenerate
フックのコールによってワークアイテムを再生成してマージする標準ビルトインの実装を持っています。
再生成されたワークアイテムは必ずしもDirty(変更あり)とは限りません。
ワークアイテムのアトリビュートがどれも変更されていなければ、そのワークアイテムは再生成される前と同じ状態のままです。
このコールバック関数の引数はonGenerate
と同様ですが、追加のexisting_items
リストには、ノード内の既存の静的ワークアイテムのリストを格納します。
generate_type
引数にはpdg.generationType列挙の値を設定します。
あなたのコードでその値を使用することで、ノードが動的なのか静的なのか判断することができます。
通常では、あなたのノードが外部リソースを使ってワークアイテムを生成している場合にのみこのコールバックを実装する必要があります。
例えば、HTTPリクエスト、外部データベース、ディスク上のファイルを介してリソースを照会してワークアイテムを生成している場合です。
別の方法では、あなたのノードがクックの度に常にワークアイテムを再生成するように試みたいのであれば、onConfigureNode
ノードコールバックを使用することでisAlwaysRegenerate
フラグを設定することができます。
あなたのノードにonRegenerate
実装がなくてもPDGは再生成ロジックを実行します。
つまり、PDGは必要に応じてビルトインの実装を代用します。
これは、追跡するのが困難な外部リソースを扱う時、または、単にそのようなリソースを制御する独自コードを記述したくない時に役立ちます。
例えば、File Patternノードはクックの度に常にファイルシステムからワークアイテムを再生成します。
Note
このコールバックは、以前のバージョンのHoudiniの古いonRegenerateStatic
メソッドとonRegenerateChildren
メソッドを置換します。
静的ワークアイテム再生成も動的ワークアイテム再生成も今では、静的生成や動的生成とまったく同様に同じコールバックを使用します。
あなたのノードにそれらの古いコールバックがどれか含まれていて、新しいonRegenerate
コールバックがなかった場合、PDGはその古いメソッドを使用し、廃止された旨の警告を出します。
onAddInternalDependencies(dependency_holder, work_items, is_static)
→ pdg.result
このメソッドは、onGenerate
コールバック時に生成されたワークアイテム間に兄弟/内部依存関係を追加する時にコールします。
これらは、同じノード内のワークアイテム間に存在する依存関係です。
このコールバックの入力は、最後のonGenerate
コールバックで生成されたワークアイテムのリストです。
Note
内部依存関係は、同じonGenerate
コールで生成されたワークアイテム間にのみ追加することができます。
is_static
ブールは、その入力ワークアイテムが静的または動的のどちらで生成されたのかを示します。
PDGは、これらの依存関係すべてがクックされた時にのみワークアイテムをクックするので、あなたのノードが特定の順番で完了させる必要のあるワークアイテムを生成する場合には、内部依存関係の追加が役に立ちます。 例えば、フィードバックループブロックの開始ノードは、ループ内の反復間で内部依存関係を追加します。
onPreCook()
→ pdg.result
このコールバックは、クック中に評価されるすべてのノードに対して、そのクックの開始時点で1度コールされます。
このコールバックは、onGenerate
コールバックの前にコールされ、そのノードが共有リソースを読み込んだり、変数を初期化する機会が得られます。
onPostCook()
→ pdg.result
このコールバックは、最後のワークアイテムがクックを完了した後に、クック中にアクティブだったすべてのノードに対して1度コールされます。 このコールバックによって、ノードがクック中に使用した共有リソースをアンロードする機会が得られます。
onPrepareTask(work_item)
→ pdg.result
このコールバックは、そのノード内の各ワークアイテムがクックのスケジュールに組まれる直前に1度コールされます。 このメソッドは、PDGがディスク上のキャッシュファイルをチェックする前にコールされるので、キャッシュ化の用途で必要な出力ファイルを追加する手段として使用することができます。 他にも、出力ファイルやワークアイテムの依存関係のアトリビュートにアクセスしたり、ワークアイテムのコマンドラインを変更したり、ワークアイテムをクックする直前に必要な処理を行う時にも使用することができます。 このメソッドがpdg.result.Failureを返すと、そのワークアイテムは失敗としてマークされます。
ROP Fetchノードは、分散シミュレーションを走らせる際にこのコールバックを使用することで、sim trackerが起動していることを確認し、シミュレーションワークアイテムをクックする前にトラッカー情報をそのシミュレーションワークアイテムに渡します。 ROP Fetch内のワークアイテムは、静的ワークアイテムとして生成することができ、クックを開始するまではsim trackerのポート/IPが分からないので、 このコールバックを使用して、シミュレーションワークアイテムにそのトラッカーの詳細を追加します。
onPrepareTask
コールバックは、バッチワークアイテム自体だけでなく、そのバッチ内のサブワークアイテム毎にコールされます。
コールバック呼び出しの順序は、バッチワークアイテムのアクティベーションモードによって異なります。
バッチのアクティベーションモードがpdg.batchActivation.Allに設定されていれば、PDGは、バッチの実行をするスケジュールが組まれる直前に、サブワークアイテム毎にonPrepareTask
フックを実行してから、そのバッチワークアイテム自体にonPrepareTask
フックを実行します。
アクティベーションモードが他のオプションのどれかに設定されていれば、このコールバックは、サブワークアイテム毎にそのサブワークアイテムの依存関係がすべて完了した後でコールされます。
このコールバックは、バッチの実行準備が整った時にバッチワークアイテム自体に対して実行されます。
つまり、バッチがpdg.batchActivation.Firstに設定されていると、onPrepareTask
コールの順序に保証がありません。
このコールバックは、サブワークアイテムのコール間でバッチワークアイテムに対してコールすることもできます。
onCookTask(work_item)
→ pdg.result
このコールバックは、In-Processワークアイテムがクックを必要とした時にコールされます。
これは、In-Processワークアイテムとして明示的に生成されたワークアイテムに対してのみ実行されます。
In-Processワークアイテムは、
onGenerateコールバック時に
inProcess=True`引数を渡してワークアイテムをワークアイテムホルダに追加することで生成されます。
このコールバックは、ワークアイテムをクックする上で必要となるIn-Processロジックを実行するだけでなく、ワークアイテムにアトリビュートを書き出したり、出力結果を取り付けることもできます。
このコールバックは、メインHoudiniプロセス内でバックグラウンドスレッド上で実行されます。
Python Scriptノードは、 Evaluate In Process が有効に設定されていると、このコールバックを使ってスクリプトを実行します。
onPostCookTask(work_item)
→ pdg.result
このコールバックは、ワークアイテムがクックに成功した時、且つ、下流ノードがそのワークアイテムから何かを生成する前にコールされます。 これを使用することで、そのワークアイテムの出力ファイルまたはアトリビュートを検証したり、クック中に生成された出力ファイルに基づいてアトリビュートに変更を加えることができます。 このコールバックは、そのワークアイテムがIn-Processでクックされていなかった場合でも実行されます。 このコールバックがpdg.result.Failureを返すと、そのワークアイテムは失敗としてマークされます。
このコールバックは、pdg.WorkItem.setIsPostCookメソッドを使ってポストクックロジックを実行する必要性があるものとしてワークアイテムがマークされた場合にのみコールされます。
onSelectTask(work_item)
→ pdg.result
これは、TOPs用途特有のUIコールバックです。 TOPs UI内でワークアイテムを選択する時、ワークアイテムが選択された後でこのフックが実行されます。 例えば、これをWedgeノードで使用することで、ワークアイテムパラメータ値をシーンに出すことができます。 他にも、独自の視覚化ロジックを実行することができます。
Note
ワークアイテム選択用のイベントフックもあります。 詳細は、pdg.EventTypeイベントタイプリストとイベントハンドリングの概要を参照してください。
onDeselectTask(work_item)
→ pdg.result
このコールバックは、onSelect
コールバックの反対です。
TOPs UIでワークアイテムが選択解除される度に実行されます。
例えば、Wedgeノードは、このコールバックを使用して、選択解除時にパラメータ値を元の値に復元します。
onConfigureNode(node_options)
→ pdg.result
現在のパラメータに基づいてノードインスタンスの構成を表現するのに使用可能なpdg.NodeOptionsオブジェクトを使って呼び出します。 ノードに関するテキストの説明を設定したり、ノードがワークアイテムを生成する条件としてすべての入力ノードが生成されていることを必須にするのかどうかを設定することができます。 これは、 Generate When が Automatic に設定されている時のその挙動に影響します。 ノードがすべての入力ノードが生成されていることを必須にした場合、Automaticパラメータは常に All Upstream Items are Generated を意味します。
例えば、ROP Fetchノードは、バッチを作成する際に上流のワークアイテムの全リストにアクセスできる必要があります。
ROP Fetchノードがバッチモードの時、そのROP FetchノードはonConfigureNode
メソッドを使用して、その Automatic 生成オプションが常に All Upstream Items are Generated を意味することをPDGに伝えます。
def onConfigureNode(self, node_options): if self['batch'].evaluate() > 0: node_option.setRequiresGeneratedInputs(True) else node_option.setRequiresGeneratedInputs(False) node_options.setDescription("Node: " + self['targetnode'])