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CGIにおけるフェザーの作成は、難題の1つです。 大量のデータ、特異な構造、そしてカメラの視点によってはたくさんのディテールを扱わなければなりません。 当然ながら、フェザー同士の相互作用に加えて、フェザーとキャラクタとの相互作用や、風などの周囲の環境との相互作用についても考慮する必要があります。 さらに、ルックや形状、全体のグルームをアーティスティックに制御することも大切です。 ブラシ、マスク、ペイントツールが使えること、そしてネットワークのどのポイントにおいても各フェザーを変更できることも、プロフェッショナルでアーティストフレンドリーなフェザーシステムには重要な要件です。 また、物理的に正確なシェーダを使用して、リアルな画像をレンダリングできることも重要でしょう。
Houdiniのフェザーシステムでは、リアルで非常に詳細なフェザーを大量に作成することができます。 ルックデブ、シェイピング、テクスチャリング、グルーミングだけでなく、シミュレーションやレンダリングのための洗練されたツールが用意されています。 多種多様なノードとアトリビュートにより、ニーズに合わせてフェザーをデザイン、変更、カスタマイズできます。 フェザーシステムはGPUアクセラレーションに対応しています。
異なるタイプのフェザーをブレンドしたり、ガイドを使用したり、大量のフェザーをポリゴンプロキシジオメトリとして表示することができます。 また、フェザーにノイズやデフォーマを適用して、自然かつ均一すぎないルックを作成することもできます。 重なり合ったフェザーの交差を回避したり、フェザーの形状をブレンドしたり、完全なフェザーセットを含むテンプレートを使用するなど、様々な微調整を行なえるツールもあります。 多数のアトリビュートにもアクセスできるので、ニーズにぴったりのフェザーを形成できます。 クランピング(束化)ツールや様々なノイズタイプを使用してバリエーションを加えることも可能です。
フェザーの形状やスタイルを整えるグルーミングツールもあります。 Houdiniのグルーミングノードを使い慣れている方なら、すぐにでもフェザーのブラッシング、マスク、編集、グルーミングを行なえます。
Houdini Feather Procedural LOPは、HoudiniのKarma CPUおよびXPUレンダリングエンジンだけでなく、その他のHydraデリゲートへの橋渡しとなります。 まず、静止状態のグルーミングから始めます。 その後、フェザーを形成およびシミュレーションして、すべてをUSDファイルにエクスポートします。 プロシージャルは、シミュレーションされたフェザーサーフェスをUSDから読み込み、入力ジオメトリから細かい構造を作成します。 プレビュープロシージャルにより、ビューポートにグルームが表示されます。
フェザーの事実 ¶
フェザー(羽根)の主成分は、髪や爪と同じ、βケラチンです。 βケラチンは水に溶けず、複雑な構造をした、いわゆる繊維タンパク質です。 単純で原始的な羽根は、約2億5千万年前の三畳紀初期に出現しました。 その初期の羽根もβケラチンが主成分でしたが、現代の鳥の羽根と比べると、化学構造がわずかに異なります。 現代に受け継がれているものと同じ羽根を持つ動物の祖先は、 始祖鳥 です。 この動物の最初の記録は、1860年にドイツのゾルンホーフェンで発見された1枚の羽根です。 始祖鳥は恐竜と鳥類をつなぐ存在とされ、飛ぶことはできませんでした。 最新の研究によると、羽根の主な目的は、断熱と、おそらく求愛の儀式だと考えられています。
フェザーの部位 ¶
以下の図に、羽根の各部位を示します。 サポートされている部位については、その名称がHoudiniのフェザーシステムにも登場します。
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羽柄(うへい:Calamus) または 羽軸根(うじくこん:Quill) 。羽軸(Shaft)の空洞部分が、羽根を鳥の皮膚や骨につないでいます。
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羽軸(うじく:Shaft) 。これは、羽弁(Vane)を支える長い中央の部分です。
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羽弁(うべん:Vane) 。羽弁(Vane)は、中央の羽軸(Shaft)から伸びる羽毛部分です。左右の羽弁(Vane)の幅はほぼ同じです。
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羽枝(うし:Barb) 。羽枝(Barb)とは、羽軸(Shaft)から伸びる一本一本の細長い構造体です。各羽枝(Barb)には、細い軸の小羽枝(Barbule)があります。羽軸(Shaft)の両側にある羽枝(Barb)全体のことを、羽弁(Vane)と呼びます。
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小羽枝(しょううし:Barbule) 。各羽枝(Barb)の中央の軸から伸びる非常に細かい羽枝(Barb)です。
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小鉤(しょうこう:Barbicel) 。小羽枝(Barbule)には、この小鉤と呼ばれる鉤(かぎ)形の小突起があります。
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綿状羽枝(めんじょううし:Afterfeather) 。羽枝(Barb)下部の綿毛の部分で、先端に小鉤はなく、カールしているように見えます。
フェザーが果たす機能によっては、切り込みや膨らみなどの構造体が見受けられる場合もあります。
Note
小羽枝(Barbule)と小鉤(Barbicel)は、Houdiniのフェザージオメトリの部位には含まれていません。
フェザーのタイプ ¶
羽根には様々な種類があり、機能も見た目も異なります。 鳥の体で羽根に覆われていないのは、足とくちばしだけです。
翼の羽根 は左右非対称で、乱流が起きないよう前縁側は短く、柔軟性に欠けています。 鳥の翼は、上昇する力(揚力)を得られるような配置で羽根が生えています。 それが、鳥の飛翔を可能にします。 翼の羽根 はいくつかのタイプに分類できます。
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雨覆羽(あまおおいばね:Covert) は 大羽(おおばね) で、下の風切羽(かざきりばね)の羽柄の領域を覆っています。
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初列風切羽(しょれつかざきりばね:Primary) は、翼の外側にある羽根で、鳥の手の骨に付着しています。多くの鳥には、9~10枚の 初列風切羽 があります。
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次列風切羽(じれつかざきりばね:Secondary) は、翼の内側の風羽切で、鳥の前腕に生えています。鳥種に応じて、9~25枚の 次列風切羽 があります。
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三列風切羽(さんれつかざきりばね:Tertiary) は、翼の一番内側にある風切羽です。通常は3~4枚の 三列風切羽 があります。
尾羽(おばね:Tail Feather) は扇形に配置され、正確な舵取りや方向転換に使用されます。一般に、鳥には6対の 尾羽 があり、外側ほど非対称の度合いが高くなります。
大羽(おおばね:Contour Feather) は、鳥の体を覆い、その滑らかな形を作ります。屋根板のように重なり合い、先端は防水性に優れ、基部はふわふわしています。翼の 大羽 は 雨覆羽 と呼ばれます。
半綿羽(はんめんう:Semiplume) は通常、体を覆うほかの羽根の下に隠れています。ふわふわして保温性に優れた羽根です。
糸状羽(しじょうう:Filoplume) は、羽枝(Barb)が数本しかない短い羽根です。 大羽 の位置を感知する役割を担っています。
綿羽(めんう:Down) がふわふわに見えるのは、鳥の体近くに空気を閉じ込める、柔らかな羽枝(Barb)と比較的長い小鉤があるからです。空気には断熱効果があり、鳥の体温を保ちます。 半綿羽(Down) とは対照的に、 綿毛 は短く、はっきりとした軸がありません。
剛毛羽(ごうもうう:Bristle) の軸は硬く、羽柄付近に数本の羽枝(Barb)があるだけです。鳥の眼や顔を保護する役割です。
飾り羽(かざりばね:Decorative Plume) は、多くの場合カラフルで、ときに他の羽根よりも大きく、人目を引く形状をしています。飾り羽を持つ鳥としてよく知られているのは、オスのクジャクやキジです。メスに求愛するときに、飾り羽を使用します。
フェザーの色 ¶
羽根の色は、色素によるものと、微細構造に由来するものとがあります。 前者の場合、色素はその役割を果たす細胞内で作られるか、鳥が摂取した栄養から吸収されます。 後者の場合、羽根の構造が可視光の特定の波長を反射したり吸収することで、様々な色に見えます。 この効果は、蝶の羽にも見受けられます。