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Since | 20.0 |
概要 ¶
Karma Furシェーダは、Chiangモデル - Karma Hairの拡張です。 このモデルは、ファーと太いヘアーの構造的な特徴、つまり、Medullaを考慮します。ヘアーとファーは3つのメインコンポーネントを持っています:
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Cuticle(キューティクル:毛表皮): ヘアーの最外層。Cuticleは、5から10枚に重なった層で構成され、入れ子になった一連の鱗(Scaleといいます)で覆われています。これらの鱗は、ヘアーの表面からわずかに突き出ています。
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Cortex(コルテックス:皮層): ヘアーの中間層。一般的にCortexはヘアーの体積の80から90%を占めますが、ファーに関してはそれよりも少ないです。Cortexには、ヘアーの色を左右する光吸収色素が含まれています。
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Medulla(メデュラ:毛髄): Cortex内部の芯。Medullaにも色素が含まれていますが、すべてのヘアーに存在するわけではなく、主に普通のヘアーから太いヘアーまでに存在します。Medullaからの散乱は、Cortexの散乱よりもはるかに顕著です。
Chiangモデルのこの拡張の主な目的は、ミクロレベルでファーの1本1本の毛の特性を再現するだけでなく、マクロレベルでファーの写実的で制御可能な光の散乱を実現することです。
Medulla Radius を使ってMedullaの半径を制御することができます。
Medulla Radius を0
に設定すると、このシェーダは、Chiangモデルに完全一致します。
Medullaのジオメトリを考慮することは、元のChiangモデルよりも以下のいくつか利点があります:
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CortexのIORと吸収係数に基づいて、Cortex媒体を通過するMedullaの解析的屈折による正確で制御可能な光の減衰。
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Medulla Radius 、 Medulla Phase (Henyey-Greenstain散乱関数)、 Medulla Diffuse によるグルームの光の散乱の制御によって、散乱を局所化することができます。ヘアーとファーは体積測定に非常に似た挙動をします。Medulla拡張を使用すると、体積測定と同じ方法で光の散乱を制御することができます。
Note
ChiangローブとMedullaローブの間に全散乱を取得するには、ファージオメトリに対して Caustic パスを有効にする必要があります。 Causticsを使用しなかった場合、エネルギーの損失によりヘアーが暗くなります。
Cortex ¶
Karma FurでのChiangモデルは、いくつかの高度なパラメータを使ってCortexを模倣することができます。 Cortex系パラメータの詳細はKarma Hairのページを参照してください。この章では、拡張したカスタムパラメータについてのみ説明しています。
Cuticle Reflectance
人の毛幹には、屋根の瓦に似たキューティクルの鱗があります。 しかし、ファーのキューティクルは複雑な形状になる場合があります。 動物のファー繊維の外面は、通常では人の毛の外面よりも粗いです。 私どものモデルでは、ファー繊維の縦断面と横断面の両方の粗さを考慮し、どちらも同じレベルの単純さであると仮定しています。
独自の Longitudinal(縦断面) と Azimuthal(横断面) の粗さとカラー入力を使用することで、追加でプライマリ(R)スペキュラローブを作成することもできます。 このローブは、 Extra R Color のメインRスペキュラRGBコンポーネントに混ざります。
Note
屈折率(IOR)は、ヘアーの最終的なルックに大きく影響します。基本的に、これはCortex IORのことです。 このIORは、Cortex媒体がMedullaをどのように屈折させ、そのMedullaをどの程度レンダリングに出現させるのかに影響します。
Medulla ¶
Medullaは、制御された後方散乱とリム効果によって、ふわっと拡散したルックを実現することができます。 Chiangモデルだと、このような効果を実現するのは難しいです。 特定のルックは、基本的なChiangでは不可能な場合さえあります。 拡張されたMedullaモデルは、被膜層や断熱層、例えば下毛を使ってもっと複雑なセットアップを作成することができます。 さらにファーのルックをもっと細かく制御することで、もっとボリューム感のあるリアルな外観を実現することができます。
高度なMedullaモデルは主にファーで使用しますが、人の毛に適用することもできます。 人の太い毛にもMedullaがありますが、通常では動物のMedullaよりも細いです。
Medulla Radius
Cortex内部のMedullaの半径を制御するパラメータ。
Medulla Phase
ここでは、光の散乱の挙動を制御します。 一本一本の毛を自然な感じにするには、このパラメータを常にプラスにします。 グルームを通じで散乱する光は常に前方散乱です。
Medulla Diffuse
このパラメータには物理的な根拠がなく、人為的な制御のためにあります。 Medulla Diffuse を上げることで、マテリアルがもっと拡散するようになります。 その結果、光はMedullaから反射され、散乱しません。
Medulla Pigment
Medullaで吸収される光の量を制御します。
Medulla Opacity
このパラメータには物理的な根拠がなく、人為的な制御のためにあります。 Medulla Opacity は、メインのChiangローブと混ざるようにもっと透明なMedullaローブを生成します。
Advanced ¶
Cortex Blend Normals
サーフェス法線とこのノードの Ncortex 入力に接続されたカスタム法線をブレンドして、サーフェス法線をランダムにします。
Medulla Blend Normals
サーフェス法線とこのノードの Nmedulla 入力に接続されたカスタム法線をブレンドして、サーフェス法線をランダムにします。
参考文献 ¶
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The Implementation of a Hair Scattering Model. Physically Based Rendering: From Theory to Implementation. Pharr, Matt
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A Practical and Controllable Hair and Fur Model for Production Path Tracing. Chiang, Matt Jen-Yuan, Benedikt Bitterli, Chuck Tappan, Brent Burley.
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Physically-AccurAate Fur Reflectance: Modeling, Measurement and Rendering. Ling-Qi Yan, Chi-Wei Tseng, Henrik Wann Jensen, Ravi Ramamoorthi.
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An Efficient and Practical Near and Far Field Fur Reflectance Model. Ling-Qi Yan, Henrik Wann Jensen, Ravi Ramamoorthi.
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Dual Scattering Approximation for Fast Multiple Scattering in Hair. Arno Zinke, Cem Yuksel, Andreas Weber, John Keyser.